第124回大会のテーマ別シンポジウムT12 「樹木の成長と環境」の趣旨

生育場所を固定されている植物の成長や生存は、光、水、養分、温度といった環境因子に対する形態的・生理的な応答によって大きく左右されます。一年生の草本である実験植物では成長や環境応答に関わる分子機構が明らかになってきており、永年生で個体サイズが巨大になるという特徴を有する樹木においてもこうした知見を踏まえた研究が進められてきました。樹木の成長機構とその環境応答を解明することにより、森林の機能と動態に対する理解も深まります。本テーマ別セッションは、野外の成木個体から細胞・分子レベルまで様々な手法で研究を行う人が集う場として第108回大会から継続して開催しています。本大会では、前回同様、口頭セッションとポスターセッションからなるシンポジウムを企画します。口頭セッションは、ミニシンポジウム「開花の分子機構〜モデル植物から樹木へ」とポスター発表の1分紹介で構成します。ポスターセッションには樹木の成長と環境に関する研究の成果発表を募ります。
ミニシンポジウム「開花の分子機構〜モデル植物から樹木へ」では、異なる研究材料で開花制御に関わる遺伝子や分子機構の解明を進めている3人の研究者の方に講演していただきます。東京大学の阿部光知氏にはモデル植物であるシロイヌナズナにおける一年生草本の開花制御の分子メカニズムについて、チューリッヒ大学の小林正樹氏には東南アジア熱帯雨林の同調的な開花現象に対する遺伝子からのアプローチについて、東京大学の久本洋子氏には一斉開花するタケ類の開花制御遺伝子についてお話し頂きます。栄養成長から生殖成長へと移行するメカニズムについて、モデル植物と樹木における共通点と相違点、今後の課題と展望について考えます。
ポスター発表の1分紹介では、ポスターセッションでの発表内容を1分間で紹介して頂きます。研究分野や研究手法の枠を越えた活発な意見交換の場として、多くの皆様のご参加を期待しております。

コ−ディネ−タ−:二村典宏(森林総合研究所)、北尾光俊(森林総合研究所)、小島克己(東京大学)、斎藤秀之(北海道大学)、津山孝人(九州大学)、則定真利子(東京大学)