第123回大会のテーマ別シンポジウムT16 「樹木の成長と環境」の趣旨

樹木の成長機構とその環境応答を解明することにより森林の機能と動態に対する理解が深まります。生育場所を固定されている植物の成長や生存は,光,水,養分,温度といった環境因子に対する形態・生理レベルの応答性により大きく左右されます。 これまで,実験植物等で明らかとなってきた分子レベルでの成長機構や環境応答機構を参考にしながら,永年生で個体サイズが巨大になるという特徴をもつ樹木の成長の仕組みに関する研究が進められてきました。本シンポジウムは,野外の成木個体から細胞・分子レベルまでを対象に様々な手法で研究をしている人が集い,樹木の成長と環境応答についての理解を深め,研究分野や研究手法の枠をこえた大きな討論の場を持ちたいと考え,第108 回大会から継続しています。

第123 回大会では,前回同様,口頭セッションとポスターセッションからなるシンポジウムを企画します。口頭セッションは,ミニシンポジウム「組織・器官の計測から森を捉える」とポスター発表の1分紹介で構成します。ポスターセッションには樹木の成長と環境に関する研究の成果発表を募り,研究分野や研究手法の枠を越えた情報・意見交換の活性化を図ります。 口頭セッションの第一部ミニシンポジウムでは,林木,すなわち野外環境で大きく育ってゆく樹木を対象に組織・器官レベルでの測定から如何にして個体,森林を捉えられるのかという視点から,国立環境研究所の飯尾淳弘さんにブナ林の光合成量の個葉レベルからのアップスケーリングについて,森林総合研究所の荒木眞岳さんにヒノキ人工林における幹呼吸と樹冠呼吸の垂直変動と呼吸特性について,国立台湾大学の久米朋宣さんに樹液流計測に基づく単木,林分,森林流域における水消費量についてお話し頂きます。第二部は,ポスターセッションでの発表内容を1 分間で紹介して頂きます。多くの皆様のご参加を期待しております。

コ−ディネ−タ−:斎藤秀之(北海道大学)、北尾光俊(森林総合研究所)、小島克己(東京大学)、津山孝人(九州大学)、則定真利子(東京大学)、二村典宏(森林総合研究所)